記憶術と歴史

記憶術と歴史

記憶術自体は古代ギリシャの詩人であるシモニデスが基礎を構築しましたが、歴史を紐解いていくと驚異の記憶術を誇る偉人はシモニデス以外にも存在します。シモニデスと同じ時代古代ギリシャに生きたキケロは大変長い時間の演説を原稿無しでこなしたという言い伝えがあります。キケロは紀元前106〜紀元前43年と63年間生きた人物で、有名な哲学者でありまた弁論家としても活躍しました。原稿を見ないで3時間という長時間の大演説を行いましたが、驚くべき事に演説の内容は原稿とまったく同じものだったそうです。

 

キケロは後に『弁論家について』という記憶術を扱った興味深い書籍を残しています。当時においては教養の深さが権力をつかむ最大の武器と考えられていて、記憶力の高さの競争が常にあり、そのような時代背景が関係しているのでしょう。

 

記憶術が後世に伝えるのに多大な影響を与えたと考えられるではないでしょうか。

 

日本にも独自に記憶術を身に付けたと考えられる人が存在し、名前を稗田阿礼《ひえたのあれ》といいます。古事記の編纂者として有名ですが、その凄さは一度見たり聞いたりした事は決して忘れないと言われるほどに物覚えが凄まじく良く、皇室の系譜を記した『帝紀』や各氏族の歴史書『旧辞』など大変難しい書物を暗誦していとされます。記憶術関連の本は、現代に入って盛んに出版されだしました。その時に一躍脚光を浴びたのが和田菊次郎になります。面白い試みとして記憶術の実演会を開催し、100人が口にした単語を全て暗記するという離れ技をやってみせ、『和田守式記憶法』を生み出します。また東洋大学創設者として知られる井上円了は、現在の記憶術考案に大変影響を与えたと考えられ、古代ギリシャの流れをふんだんに孕んでいるヨーロッパの記憶術から影響を受け『記憶術講義』なる本を書いています。記憶術とはつまり非常に長い歴史のなかで研磨された人類の英知とも言えるのではないでしょうか。


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